世界トップの代理人に上り詰めたライオラ氏の場合、オランダのアムステルダムのピザ店で働いていた際、アヤックス・アムステルダムの選手たちのもとへ足繫く通い、ズラタン・イブラヒモビッチ(2001-2004、2023年引退)を手掛ける代理人となった。
後に、マリオ・バロテッリ(現ジェノア)、マレク・ハムシーク(2023年引退)、ポール・ポグバ(フリー)らも手掛けているライオラ氏。選手と契約を結ぶ際「年俸3%を手数料として支払う」という条件を付け、さらに選手とクラブの契約が成立した際にもボーナスが支払われるため、巨額の収益を得ることになる。
法学部を卒業し、同じくイタリアで代理人として活動しているアントニオ・ジョルダーノ氏は「ライオラのようになろうと考えて試験を受ける人は、家に帰ったが良い」と言う。同氏は代理人試験の「予備校」を開講。その料金は600~700ユーロで、少なくとも2か月は厳しい勉強を強いる。中には、予備校の受講料として2,000ユーロもの大金を設定している弁護士も存在するという。
日本で急拡大「CAA Base」の代理人ビジネス
日本サッカー界における代理人は「選手から代理人手数料を取る」のが一般的である。相場は5~10%で、この金額はキャリアアップのための自己投資と見られてきた。
しかし、この慣習を覆す“黒船”が日本へ乗り込んできた。イギリス・ロンドンに本社を置く「CAA Base」だ。日本担当の代理人、富永雄輔氏の本業は、幼稚園生から高校生、浪人生まで受け入れる「進学塾VAMOS(バモス)」の代表取締役だ。京都大学を卒業後、東京・吉祥寺に同社を設立。入塾テストを行わないにも関わらず毎年首都圏トップクラスの難関校合格率を誇り、授業のみならず教育相談、受験コンサルティングにも対応している。
「CAA Base」のビジネスモデルは、「代理人が選手から手数料は取らずに、その代わりとしてクラブから直接手数料を支払ってもらう」というものだ。選手にとっては、毎年払っていた手数料が無料になるのだから話題にならないはずはない。