これは当時の法律でも完全に違法です。

またジョンは標本のコレクターとしても有名であり、人や動物の臓器および骨格を世界中から集め、自室にはなんと1万4000点を超える標本が並んでいたといいます。

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ジョンが欲しがった巨人チャールズ(左)とその骨格標本(右)/ Credit:ja.wikipedia, en.wikipedia

さらにジョンの危うい一面を物語るエピソードをひとつ紹介しましょう。

当時ロンドンには「アイルランドの巨人」と呼ばれていた身長2メートル50センチのチャールズ・バーン(1761〜1783)という人物がいました。

ジョンはチャールズの骨格標本がどうしても欲しかったので、人を雇っていつ死ぬかを24時間体制で見張らせていたのです。

チャールズは自分が見張られていることに気づき、「私が死んでも標本にされないよう、棺桶に錘をつけて海に沈めてくれ」と遺言していました。

彼の遺言通り、チャールズの遺体は棺に収められて海に運ばれたのですが、そこに姿を現したのがジョンでした。

ジョンは葬儀業者に賄賂を渡して、棺の中のチャールズの遺体だけを盗み出し、特大の鍋で煮込んでついに骨格標本を手に入れたのです。

遺体に対するジョンの好奇心はもはや狂気の領域に達していました。

そしてその危険な好奇心はついに自分の体にまで向けられるのです。

性病患者の膿を自分のペニスに塗りつける

18世紀の後半、ロンドンではかつてないほど性病が大流行していました。

街のあらゆる場所で売春行為が蔓延っており、衛生状態も悪く、それによって性病にかかる人が続出していたのです。

ジョンが診察した患者の4分の1も性病で占められていたといいます。

当時の主な性病には「淋病」「梅毒」の2種類がありました。

淋病は排尿痛および尿道口からの膿を引き起こし、最もありふれた性病でしたが、致死的な病気ではありません。

一方で、梅毒は淋病よりずっとタチの悪いものでした。