彼は瀉血や水銀治療など、従来の間違った治療法を否定し、外科医としても安易に手術を行うことに慎重で、症例によっては自然治癒に任せる方法もとりました。
そのおかげで無理な切断手術をせずに、命が救われた患者もたくさんいたのです。
彼の名声に惹かれて、経済学者のアダム・スミスやベンジャミン・フランクリン、イギリス国王ジョージ三世などがジョンに往診を依頼したといいます。
また彼は患者を使って数多の解剖や実験を行いましたが、決してモルモット扱いしたわけではありませんでした。
ジョンは生前に「もし自分が患者と同じ病気になったら、私は自分の体でも同じ実験をしただろうし、自分の体に対して行っただろうと思われる以上のことを他人の体で実験したことはない」と話しています。
実際彼は、他人を実験台にしても良さそうな病状の進行段階を見る実験で、自分自身を実験台にしています。
当時は遺体を切り刻む行為を狂気の沙汰と感じる人も多かったのでしょう。そのため、彼には名医と狂人のような異なる印象の記録が数多く残ってしまったのかもしれません。
ちなみに遺体を運び込むための搬入口を持っていた彼の邸宅は、「ジキル博士とハイド氏」の屋敷のモデルになったと言われています。
彼は違法な手段で無数の遺体を集めるという裏の顔を持っていましたが、その解剖研究のおかげで外科医術は大いに発展し、彼が残した知識と技術により何千、何万人もの命が救われることになるのです。
さて、皆さんはジョンのことを「英雄」だと思いますか、それとも「悪魔」だと思いますか?
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参考文献
John Hunter
https://hunterianmuseum.org/about/john-hunter
世にも奇妙な人体実験の歴史
https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%96%E3%81%AB%E3%82%82%E5%A5%87%E5%A6%99%E3%81%AA%E4%BA%BA%E4%BD%93%E5%AE%9F%E9%A8%93%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%BC-%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3/dp/4167907399/ref=sr_1_1?crid=2R8FLJICANOGN&dib=eyJ2IjoiMSJ9.z1LUe5Dsn4_H3_Y24873uQWYGo8ES03Q1jA_-cmPCnGHFWP01OLZf2tv-OOagEjlQXtwxZICYLu-F-3EblF2hDicSw_FOLRJA1Bf0icxtylUFHspmwPeVhkhD4T3PV7gWN4IV6XoPasFhfmmMiymzYlaj6nQiKiSMTFNEt8xa9znYTP3BDaxaZEQ5ZPKOxncE3YS2PIvtaGlTbsZzI_VIaBz61AzQm5G2-QY8BgtxUo.p_KmCtMJEzfa0PKPP1OLuvtVqlL5ezaOGmewaBKSBvc&dib_tag=se&keywords=%E4%B8%96%E3%81%AB%E3%82%82%E5%A5%87%E5%A6%99%E3%81%AA%E4%BA%BA%E4%BD%93%E5%AE%9F%E9%A8%93%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2&qid=1738023575&sprefix=%E4%B8%96%E3%81%AB%E3%82%82%E5%A5%87%E5%A6%99%E3%81%AA%2Caps%2C551&sr=8-1