これまでブンデスリーガでは、2001年に当時ボルシア・ドルトムント所属の元ガーナ代表FWイブラヒム・タンコが、ドーピング検査で大麻陽性反応が検出され問題になった。2003年には、ブレーメンの元U-21ドイツ代表GKアレクサンダー・ヴァルケが、大麻の吸引により7か月の出場停止を受けている。ドイツでは大麻使用に対し、サッカー界だけでなく法的にも厳しい処罰が待っている。それが世界のスタンダードだ。


大麻 写真:Getty Images

学生スポーツ界にまで入り込んでいる理由は

そもそも、サッカー選手がなぜ大麻に手を染めてしまうのか。大麻の茎や種子から抽出される「カンナビジオール(CBD)」には、ストレス緩和やリラックス効果、抗炎症作用、骨の成長促進、抗菌作用、睡眠の改善効果があるといわれている。

一方、同じ大麻由来の成分「テトラヒドロカンナビノール(THC)」には、幻覚や息切れ、喉の渇きといった副作用や、長期間の摂取による依存性が高いとされている。いわゆる“キマってしまう”状態になってしまうのだ。

大麻で捕まるスポーツ選手はサッカーに限らず、ラグビーやアメフト、格闘技選手に多い。いずれもボディーコンタクトが多く、ケガと隣り合わせのスポーツだ。多少の痛みを常に抱えながらプレーを続けることを強いられ、そこから逃れるため大麻に手を出してしまうケースが多いのだろう。格闘技イベントK-1の元3階級王者である武尊氏も、2023年にCBDオイルブランドをプロデュースしている。

また、大麻は現在、学生スポーツ界にまで入り込んでいる。2021年、近畿大学サッカー部員7人が、SNSを通じて購入した大麻を複数回にわたり自宅で使った上で部員らにも広めて退学処分となり、チームも無期限活動休止となった。清水エスパルスにも所属(1992-1993)していた元日本代表GKの松井清隆監督は退任を勧告され、辞任に追い込まれた。同学生は「新型コロナで暇になり興味本位でやった」と語っていたという。