その一方でカナダでは、2022年10月、カナダプレミアリーグ(CPL)のクラブに所属する選手から禁止薬物に指定されている大麻が検出されたものの、カナダスポーツ倫理センター(CCES)は同選手の大麻摂取が試合時ではなかったことで、1か月の資格停止処分とした。国によってその処分の重さもさまざまだということが分かる。
また、日本を含め56か国が加盟している国際プロフットボール選手協会(FIFPro)に属するオランダ人弁護士のウィル・ファンメーゲン氏が「大麻はドーピング検査対象から外すべき」と発言し、物議を醸している。世界反ドーピング機構(WADA)は、大麻に関する規則を緩めているが、同氏は以下のように主張している。
「大麻には、選手のパフォーマンスを向上させる物質は含まれていない。もちろん大麻の摂取を奨励するわけではないが、ドーピング物質のリストに含まれるべきではない。現在、若い選手にとって大麻は、アルコールと同じくらい接触機会が多いものだ。大麻は問題視され、アルコールは許される。大麻を吸引してもほとんど正常であるのに、犯罪者と見なされてしまう」
これに対し、ドーピングに関する専門家で、ドイツ、ニュルンベルクの生物医薬研究所の所長を務めるフリッツ・ゼルゲル教授は「あまりにもバカげている」と一蹴。ドイツ紙『ビルト』にコメントを寄せ「残念ながら薬物は若者の間に出回り続けている。確かに大麻吸引を黙認している国や米国の一部の州も存在するが、日常的な吸引は間違いなく脳に悪影響を及ぼす」と主張した。
さらに同教授は「大麻をドーピングリストから外すことで、何かの変化があるのだろうか?少なくともドイツでは、大麻の取引でさえ禁止されている。チームドクターが大麻を与えるとでも考えているのか。ファンメーゲン氏は少し自分の考えを見直したほうがいいのではないか」と批判している。