まず大前提として、大麻によって逮捕された容疑者が決まって口にする「大麻は海外では合法」などといった詭弁は全くのデタラメであることを強調しておきたい。国連による「麻薬単一条約」は、特定の医療目的以外での嗜好品としての使用を禁止し、ほぼ全ての国連加盟国がそれを批准しているからだ。

中国、シンガポール、イラン、サウジアラビアといった国においては麻薬売買や所持、使用は死刑に至る大罪だ。2010年の中国では、麻薬密輸の罪で日本人4人が死刑に処された。

例えばオランダでは「Coffee Shop(コーヒーショップ)」なる看板を出し、街中で堂々と営業している店に、観光客が喫茶店と勘違いして入ってみたら、スーツ姿のビジネスマンがスパスパと大麻を吸っては出ていくという驚きの光景が見られる。

この事実によって「オランダでは大麻は合法」と誤解されているが、非犯罪化はされていても合法ではない。コーヒーショップの営業も政府の厳重な管理下に置かれている。もちろん、大麻の店外への持ち出しや所持、大麻を吸った状態での自動車の運転などは違法だ。

50州のうち34州が医療目的での利用を、24州が娯楽目的での利用を合法化しているアメリカでも、連邦レベルでは違法。カナダやウルグアイ、タイといった嗜好目的での使用を一部合法化した国も一緒だ。

ジェイ・エマニュエル=トーマス(アーセナル所属時)写真:Getty Images

サッカー界の大麻に関する処分や議論

かつてアーセナル(2008)などでプレーしたFWジェイ・エマニュエル=トーマスは、昨2024年、タイから末端価格60万ポンド(約1億1,000万円)相当の大麻を密輸しようとした疑いで逮捕された。国境警備隊が、バンコクからの航空便でロンドンに到着した2つのスーツケースから、60キロもの大麻を発見したという。逮捕後トーマスは、当時所属していたスコットランド2部のグリノック・モートンから即刻解雇された。