また、エング氏はその功績が讃えられ、革新的な基礎研究に贈られるGolden Goose Award(2013年)、過去5年間で最も学術的インパクトのあった論文に与えられるFrontiers in Science Award(2014年)を受賞しました。
残念なことに、国際糖尿病連合(International Diabetes Federation)によると、2021年時点で世界の糖尿病罹患者は5億人超、つまり成人の約10人に1人が罹患しており、その90%以上が2型糖尿病とされています。
2045年までには7億人超まで増加すると予測され、今後もGLP-1受容体作動薬は人類にとって強い味方であり続けるでしょう。
これだけでも現代医療に大きく貢献していることがわかりますが、アメリカドクトカゲの活躍はこれだけでは終わりません。
検出困難であった腫瘍の検査技術も向上
なんと、ラドバウド大学医療センターのボス氏ら研究チームにより、エクセンディン-4を基にインスリノーマをより正確に検出できる新技術が開発されたのです。
インスリノーマとは、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞に発生する腫瘍で、多くは良性ですが、インスリンを過剰分泌させるため低血糖を引き起こし、眩暈や意識喪失など様々な症状が現れ、最悪の場合、死に至ることもあります。
腫瘍の切除が主な治療法ですが、ほとんどが2cm未満と小さく、技術が進歩して高感度であるにも関わらず、CT検査やMRI検査、PET検査などの画像診断では腫瘍の位置を特定しにくいという問題があります。
また、超音波内視鏡(以下、EUS)や選択的動脈内カルシウム注入法という検査技術も使用されますが、体内に器具を挿入するため麻酔が必要など画像診断に比べて患者への負荷が大きかったり、施設によっては設備が整っておらず実施できないといった課題があります。
腫瘍の位置が特定できない場合、従来は腫瘍が見つかるまで膵臓を切除しており、腫瘍の位置によっては患者が膵臓全体を失い、重度の糖尿病に苦しむケースがありました。