そこで研究者らは、より高性能な画像診断技術を開発すべく、インスリノーマにはGLP-1受容体が過剰に発現することと、エクセンディン-4がGLP-1受容体に特異的に結合することに着目しました。

そして、エクセンディン-4のより化学的に安定したバージョンを作成し、これに放射性物質を結合させてPET検査で可視化しCTで撮影する、68Ga-NODAGA-Exendin-4 PET/CT(以下、エクセンディンPET/CT)を考案しました。

この検査方法の仕組みは、インスリノーマの細胞には正常な膵臓細胞より多くGLP-1受容体が存在する特徴を利用し、放射性物質で印をつけたエクセンディン-4を体内に投与して撮影して、エクセンディン-4が多く集まっている箇所にインスリノーマがあると判断するものです。

新技術エクセンディンPET/CTと従来の技術DOTA-SSA PET/CT、CE-DWI-MRI、CECT、EUSを比較
新技術エクセンディンPET/CTと従来の技術DOTA-SSA PET/CT、CE-DWI-MRI、CECT、EUSを比較 / Credit: Marti Boss et al., The Journal of Nuclear Medicine(2024)

新技術の性能を検証するため、インスリノーマの疑いがある成人患者69名が参加してエクセンディンPET/CTと従来のPET検査であるDOTA-SSA PET/CT、MRI検査の一種であるCE-DWI-MRI、CT検査の一種であるCECTおよびEUSを比較しました。

参加者は、従来の検査方法に加えてエクセンディンPET/CTも受け、うち53名がインスリノーマであると確定診断が下され、切除手術を受けました。

検証の結果、53名のうちエクセンディンPET/CTでは50名(94%)でインスリノーマが検出され、従来の検査方法であるDOTA-SSA PET/CTの35名(66%)より高い数値となりました。

その他の検査方法では、CE-DWI-MRIで72%、CECTで75%、CECTとCE-DWI-MRI の組み合わせで81%、EUSで86%となり、今までのどの検査方法よりもエクセンディンPET/CTが優れていると示されました。