さらに、EUS以外の画像診断検査について比較した結果、7名(13%)がエクセンディンPET/CTのみでインスリノーマが検出され、DOTA-SSA PET/CT、CE-DWI-MRI、CECTでは検出されませんでした。

また、エクセンディン-4を用いたPET検査の先行研究では、放射性物質とエクセンディン-4を化学的に結びつける役割を果たすキレート剤としてDOTAを使用していましたが、今回はNODAGAを使用しました。

NODAGAはDOTAよりも放射線物質68Gaとより効率的に結合することができるため、PET検査での薬剤投与量を少なくすることが可能となりました。

その結果、DOTAを使用する技術では27%の患者が副作用として吐き気を催したのに対し、NODAGAを使用した新技術ではわずか3%となり副作用を減らすことに成功しました。

今後さらにエクセンディンPET/CTの研究が進み、従来のMRI検査やCT検査などその他の検査が不要になれば、診断にかかる時間や費用の大幅な削減が期待されます。

このように、アメリカドクトカゲの「よだれ」はまさに「毒薬変じて薬となる」良い例といえます。

有毒生物は恐ろしく避けるべき生き物とされがちですが、意外な活躍を知れば彼らの見方が変わるかもしれません。

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参考文献

Scan based on lizard saliva detects rare tumor
https://www.sciencedaily.com/releases/2024/10/241021122738.htm
Doctor to discuss diabetes drug discovery during fifth annual Chu Lecture
https://www.buffalo.edu/news/releases/2016/04/030.html

元論文

Improved Localization of Insulinomas Using 68Ga-NODAGA-Exendin-4 PET/CT
https://doi.org/10.2967/jnumed.124.268158