目次
ビジネス
2025/01/17
タイムループで「作者がいない本」や「存在しない記憶を持つ人」が出現する
- 第1章「アインシュタインわすれもの」がタイムトラベルの可能性を開く
- 第2章:因果律を守るために全ては忘れられていく
- 第3章:タイムループで「著者がいない本」や「根拠のない記憶を持つ人」が出現する
- 第4章:まとめ「発見されたのは因果の保護機構かもしれない」
第1章「アインシュタインわすれもの」がタイムトラベルの可能性を開く
アインシュタインの一般相対性理論によれば、重力は単なる「引っぱる力」ではなく空間と時間そのものをゆがめる存在として描かれます。
私たちが「時間は一定速度で進む」と感じるのは、あくまで日常の経験則にすぎず、実際には重力の強さや運動速度によって時間の進み方が変化することが実験的にも示されてきました。
たとえば地球上では、地表付近よりもわずかに高い場所へ原子時計を置くだけでも、重力の影響が少し弱まるため、時間の流れがほんの少し速まるのです。
では、こうした「重力による空間と時間の歪み」をさらに積極的に利用できれば、過去と未来がつながるような“ループ状の世界線”――つまり、始点と終点が同じ地点・同じ時刻に戻ってくる軌道を作ることは可能なのでしょうか?
一般相対性理論の方程式が示唆する答えは、理論上「イエス」です。
1949年、ゲーデルは一般相対性理論の方程式から、世界線の開始点と終結点が繋がっている閉じた世界線(時間的閉曲線)を可能にする解(ゲーデル解)を発見することに成功しました。
さらにこの発想を発展させ、巨大な質量を筒状にして高速回転させる「ティプラーの円筒」などの概念が提案されました。
これらは、回転による時空のゆがみや引きずりを利用して、未来の地点を過去の世界線に“つなぎ直す”ことで、タイムトラベルを実現できる可能性を理論的に示しています。
この理論では、大質量の物体が高速回転するときに、時空が特に強くねじれ、空間だけでなく“時間”までをも巻き込むように変形する可能性が想定されています。