新体制発表会には約1,800人のサポーターが集結し、揃ってチャントを大合唱したという。これには「J3なのに凄い」と称賛の声も上がったが、逆には、この人気ぶりがクラブの野心を削いでいるという見方もできる。J3では圧倒的な観客動員数を誇り、その数は昨季平均8,489人にも上る。フロントも選手もこの人気に甘えている間は、目を覚ますことはないだろう。

FC岐阜 写真:Getty Images

FC岐阜:大島康明監督

期待度:★★★★☆

昨2024シーズン、FC岐阜では上野優作監督の解任により、ヘッドコーチから天野賢一前監督が昇格。終盤7戦を5勝2分で締め8位にまで押し上げたが、プレーオフ圏内に届かなかったことで、わずか3か月で退任となった(天野氏は2025シーズン、ツエーゲン金沢ヘッドコーチに就任)。

後を引き継いだのは大島康明監督だ。現役時代はヴィッセル神戸の下部組織出身のFWだったが、選手として開花したのは、当時JFLの大塚製薬。徳島ヴォルティスと名を変え、J2昇格を果たす原動力となった。大島監督は2002年から2009年まで在籍し、同クラブのJ初ゴールは彼から生まれた。

指導者としては2013年、古巣の徳島でキャリアをスタート。カターレ富山のコーチを経て、2017年に鹿児島ユナイテッドのコーチとして入閣している。2023シーズン、当時J3の鹿児島の監督にヘッドコーチから昇格。就任早々7戦無敗(5勝2分)の快進撃を演出し、2位でJ2昇格を果たした。翌2024シーズンのJ2では戦力不足もあり低迷、途中解任となった(19位でJ3降格)が、43歳という若さにしてJ2、J3を知り尽くしている指揮官だ。

岐阜は、昨季のチーム得点王のFW藤岡浩介を含む22人もの選手を放出した一方で、湘南ベルマーレからMF山田直輝、RB大宮アルディージャからMF泉澤仁、FC今治からGKセランテスといった即戦力を補強。柏レイソルから期限付き移籍で獲得したFWオウイエ・ウイリアムや、昨季のヴァンラーレ八戸のチーム得点王FW佐々木快、また大卒新人4人も含む13人も加わり、大幅な血の入れ替えを断行。サポーターに期待を抱かせる陣容となった。