具体的には、心臓は650キロカロリー、肝臓は2570キロカロリー、太ももは1万3350キロカロリー、上腕は7450キロカロリー、脳と脊髄は2700キロカロリーというように各部位のカロリーを計算し、これらを合わせて人体一つの総カロリー量は約12万〜14万キロカロリーになると算出しました。
一見するとすごい高カロリーにも聞こえますが、実はこれは25人の成人男性が半日もつかどうかの栄養しか得られない数字なのです。
それならば、集団で協力した1頭のマンモスを仕留めれば、同じ数の男性が2カ月間暮らせるだけの食料が得られるとチームは述べています。
なので、毎日の栄養を効率的に摂る上で食人行為はまったく向いていません。
しかし最大のデメリットは3つ目にあります。
それが「病気への感染リスクが極めて高いこと」です。
私たちの体は表向き健康そうに見えても、さまざまな細菌やウイルス、寄生虫などが棲みついている可能性があります。
そして重大なポイントは、ある人に感染した細菌やウイルス、寄生虫が同種の人間であれば容易に伝染しうる点です。
例えば、他の動物からヒトにウイルスが伝染するには、そのウイルスに何らかの遺伝子変異が起きる必要があります。
イメージとしては、コンセントのプラグの形がちょっと違う様を想像してもらうといいでしょう。
ある動物には挿せるコンセントでも、プラグの形が違うヒトには挿さらず、感染が起きません。
しかしヒト同士であれば、プラグの形を変えなくともそのまま感染できるわけです。
では日常的に人肉食を続けているとどうなるのか?
この疑問に答えてくれる実例が過去にあります。
南太平洋のパプアニューギニアに先住する少数民族「フォレ族」の事例です。
フォレ族は1950年代まで、日常的に死者の肉を食べて弔う風習を持っていました。
具体的には、死者の筋肉部位を男性が食べて、脳と臓器を女性が食べていたのです。