このフェルミ粒子とボソン粒子はスピン数をもとにする考えで分けることができます。

スピンという単語にアレルギーを持つ人もいるかもしれませんが、大丈夫です。

実際、そんなに難しい話でもありません。

スピンというのは言ってみれば、量子の性質を区分けする方便のようなもので、言葉の意味するように量子が本当に回っているわけではありません。

スピンの正体は「粒子固有の方向感覚」や「印(しるし)」のようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。

この“方向感覚”が半分の単位ならフェルミ粒子、丸ごとの単位ならボソン粒子というふうに大まかに分かれます。

(※よく言われる「スピンが整数ならボソン粒子、半整数ならフェルミ粒子」というものです)

また数学的な表記ではフェルミ粒子は位置交換によって波動関数がマイナスになるという特質があり、一方ボソン粒子は位置交換でも波動関数がプラスのままという性質が知られていました。

しかし、理論家たちは「フェルミ粒子のように交換すると波動関数にマイナス符号がかかるパターン」と「ボソン粒子のようにプラス符号がかかるパターン」だけが、どんな次元でも本当にすべてなのだろうかという疑問を抱きました。

特に、数学的な観点からは「ボソン粒子でもフェルミ粒子でもない交換特性」を持つ粒子統計、いわゆる“パラ粒子”が可能ではないかと示唆されていたのです。

ただこれまでは、パラ粒子をフェルミ粒子やボソン粒子と区別する理論的枠組みがありませんでした。

「理論的には違うものだが、実世界では観測によって区別できない」ならば、それは実質的に違いが無いとみなされてしまいます。

次はそんな理論だけと思われていたパラ粒子の性質について解説します。

パラ粒子とはフェルミ粒子とボソン粒子の中間的性質を持つ

パラ粒子は普通の粒子と何が違うのか?

その最大の特徴は「位置交換」というルールの違いです。

普通の3次元空間で粒子を入れ替えるとき、波動関数(粒子の状態を表すもの)は「プラスに変わらない」か「マイナスに変わる」かの2通りしかない、というのが定説でした。