量子力学の常識を揺さぶる新発見が報告されました。

私たちが日常的に知っている「物質」の最小単位は、電子や陽子などの“粒子”です。物理学の世界では、これらの粒子は長らく2種類に分類されると考えられてきました。
1つは電子やクォークなどの「フェルミ粒子」で、もう1つは光子などの「ボソン粒子」です。

2つの粒子の違いは明白です。

1つ目のフェルミ粒子は、宇宙にある「物体」を構成するための粒子であり、そのため2つのフェルミ粒子は同じ空間座標に重なることができません。

たとえばフェルミ粒子である「電子」を同じ空間座標に無理矢理押し込んで「電荷マイナス2のスーパー電子」を作り出すことが不可能なのは、なんとなく理解できるでしょう。

一方、光の粒である光子などのボソン粒子は、エネルギーを伝達するための粒子であり、2つのボソン粒子は同じ場所に重なることができます。

レーザー光のような強力でまとまりのある光を生み出せるのは、無数の光子が重なり合ってエネルギー密度を増加させられるからです。

物理学の根幹を担う標準模型(Standard Model)は、物体を構成するフェルミ粒子と力の伝達を担うボソン粒子が基本となる枠組みとして確立されてきました。

しかし新たな研究ではフェルミ粒子でもボソン粒子でもない新たなタイプの粒子が存在するとする研究結果が発表されました。

論文著者であるマックス・プランク研究所のワン氏は「私たちの論文は、フェルミ粒子とボソン粒子を超えた何かが実際に存在することを初めて証明しました」と述べています。

また共同著者であるライス大学のハザード氏は「私たちはフェルミ粒子やボソン粒子ではない物体が既知の法則に反することなく現実に存在できることを示す理論を構築した」と述べています。

さらにワンとハザードはまた、数学的に否定できないためパラ粒子が基本粒子として存在する可能性もあると述べています。