しかし、履物チェックが行われるようになりました。それはなぜか。

滑落の危険が伴うからです。つまり、下手をしたら遭難するからですね……。

投入堂は国宝ですが観光地ではありません。あくまでも信仰の対象なので、山岳修行のための参道に安全のための柵などありません(一部、鎖場あり)。ホームページには、当日に参拝登山が可能かどうかが掲載されるので確認しましょう。

三徳山三佛寺投入堂のホームページにはその日の情報が掲載されている
三徳山三佛寺投入堂のホームページにはその日の情報が掲載されている / credit:三徳山三佛寺

三徳山三佛寺 国宝投入堂ホームページ

登ってみるとわかりますが、まずまともな道がありません。

登り始めは「ホントにここ登っていくのか?」という急な、木の間を木の根っこにつかまって「かずら坂」をよじ登るスタイル。雨でも降った後なら泥んこになるでしょう。

投入堂に向かう登山道、木の根剥き出しの急坂「かずら坂」は両手を使ってよじ登るスタイル
投入堂に向かう登山道、木の根剥き出しの急坂「かずら坂」は両手を使ってよじ登るスタイル / credit:Wikimedia Commons

ここで半分の人は後悔するかもしれません。これは獣道か?

でもせっかく来たのだから進みましょう。ここを登ると腹がすわるというか開き直るので、獣道ぐらいの道であれば「おお、道があるじゃないか!」という感動も味わえます。

投入堂に着く前に他のお堂を経由します。こちらも懸造で、ここへ上るには鎖場という、太い鎖につかまって登る急版がありますが、その頃には「鎖がある!親切!」という気持ちになっています。

文殊堂など高いところからの景観もよく、しばしの休憩にもぴったり。でも気を付けてくださいね。そこは高所です。落ちたら遭難です。

道なき道を進みます。気分はだんだん修験者に近づいていくような
道なき道を進みます。気分はだんだん修験者に近づいていくような / credit: Wikimedia Commons

 

文殊堂を過ぎたら「日本一見に行くのが危険な国宝」と呼ばれるのがわかるはず。

再び「ここ、ホントに参道か?」という場所が現れますが、びくびくしながらも前進。多分ですが、ここなら年間何人か足を滑らせて滑落していても不思議はないという気がします。ちゃんとした靴を履いてきてよかった、もしくは、わらじの準備に心から感謝する人もいることでしょう。

ところで、役行者(えんのぎょうじゃ)って誰?