本稿では特にCNET Japanの記事を取り上げましたが、先述の通り、この件に関してはほとんどの日本メディアが、重要な要素を削って報道していました。

こうしてみると、「ファクトチェックの専門家の政治的偏向」という要素を認識させたくないのだな、ということが改めて明らかになったと言えます。

この状況は、日本語による情報・言論空間を実態と異なる認識で蔓延させようとする巨大な「エコーチェンバ―」が、日本メディアによって作出されていると言えます。

マスメディアが「SNSではエコーチェンバ―がぁ」としきりに論じていますが、むしろマスメディアがエコーチェンバ―を日本語圏で作ってきたでしょう。

SNSに問題があるのはそうですが、SNSでの現象は、既にマスメディアが実行してきたことが発端です。SNSの規律が強化されるのと同様に、新聞・テレビなどマスメディアにも、現行の放送法による政治的中立規制や広告規制を厳格にするなどの規律が必要なんじゃないでしょうか?

1:日本向けに編集した上で報じることそれ自体は否定しない。それは普通に行われており、CNET Japanではそのような記事はたくさんあり、問題ないものが多い。編集によりむしろ原文よりも理解が進む効果が得られる起伏のある文章になっているケースすらある(例えばこの記事はそうだと思う)。著者の認識が多く追加されているような場合などは削る意味がある。しかし、今回のものは報道対象の背景・動機という重要要素を意図的に隠している点に悪質性がある。 2:ファクトチェッカーの評価に基づくMetaの対応

編集部より:この記事は、Nathan(ねーさん)氏のブログ「事実を整える」 2025年1月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「事実を整える」をご覧ください。