最後にもう一つ。きょうび日本では「中国ヤバイんじゃないか」という見方が急速に強まっている。たしかにヤバイんだが、中国の「官」の懐はとても深いので、そう簡単に崩壊なんかしない。むしろ、「西側民主主義体制の相次ぐ行き詰まり」のニュースを聞いて、「西側ヤバいんじゃないか?」と見ている中国人も相当居るだろう。そうなのだ。世界中がヤバくなっている。
昨今ロシア・中東の戦争だ、トランプの再選だ、西側民主主義の行き詰まりといったニュースが重なる中で、論壇では「1930年代と似ている」という意味で「戦間期」という言葉を使う人が増えている。論者がどれだけ意識しているかは知らないが、この言葉には「次の世界戦争が迫っている」という含意が籠もる。
私が3年前に書いた本は、「世界戦争とは言わないが、21世紀には何らかの人類文明グレート・リセットがやって来そうだ」という予感を込めて、題名を「米中対立の先に待つもの」にした。そのときはまだリセットの正体が掴めなかったが、三年近い日が経つにつれて、その姿がぼんやりと見えてきたような気がして震撼している。
この連載で書いた話もいろいろ盛り込んである。最後まで読んでくださった方は、ご関心があれば読んでください<(_ _)>。
『米中対立の先に待つもの グレート・リセットに備えよ』
編集部より:この記事は現代中国研究家の津上俊哉氏のnote 2025年1月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は津上俊哉氏のnoteをご覧ください。