多くの中国人が「ロックダウンは辛かったが、自分たちはやり遂げてコロナに勝った」と誇らしい気持ちに浸ったが、トランプ大統領が「チャイナウィルス」と連呼して中国を攻撃するのを聞いて強く反発した。

特に、米国では既に数十万人が亡くなったと知って、反発混じりに「それでも先進国か!?」と嘲った。

この心理的カタストロフィの裏側で「中国の選択がいちばん正しかった」「中国サイコー、中国スゲェ」という、ある種のユーフォリア(陶酔感)が生まれ、同時に西側先進国を「アメリカ終わってるぜ!」式に「見くだす」気持ちが膨らんだ。

下の記事は当時の雰囲気を如実に表しているので、魚拓を取っておいたものだ。

原卫生部部长高强:“与病毒共存”可行吗?(訳責:筆者)

しかし、この後2022年に中国「コロナ後半戦」がやって来る。あまりに過酷な「ゼロ・コロナ」政策が採られた結果、無数の社会的悲劇と経済に対する深刻な影響が生まれた。同年11月堪えきれなくなった国民の抗議の動きが澎湃と起こったのを恐れた政府は12月初め、突如ゼロ・コロナ政策を撤廃した。

その後の備えがないまま政策が急に撤廃された結果、感染が急激に拡大したが、株種は既にオミクロン株に変わっていたため、大半の人は軽い症状で済んだ。しかし、ワクチン接種を嫌った高齢者などは重症化して、数ヶ月の間に超過死亡が200万人近くに達し、各地で火葬場の受け入れがパンクした。

結果的には、あれほどこき下ろした英・米と似たような結末を迎えただけでなく「ウィルスと共存」する準備もないままのドタバタ解除だった。

この一件で「中国サイコー!」のユーフォリアはさすがに消えたと思われるが、再び西側を仰ぎ見るようになった訳ではない。むしろ世界では、随所で西側民主主義体制の行き詰まりを感じさせる事件が増えているのだから宜なるかな、だ。それに、一般大衆は自国の政府が無能だなんて現実に向き合いたくないものだ。