そのため、蝗害になりそうな状況では、移動能力が成虫より低い幼虫のうちに薬剤散布を行い、被害の拡大を食い止めていますが、それは幼虫のうちに発見できた場合です。

木でも草でもバッタに多い尽くされる。バッタの重みで木の枝が折れることもある
木でも草でもバッタに多い尽くされる。バッタの重みで木の枝が折れることもある / Credit: Wikimedia Commons

多くの場合、見つけにくい場所で繁殖しているため、100%防ぐことは難しいのが現状です。見つけたら小型飛行機やドローンなどで農薬を広範囲に散布するしかありません。地域住民や他の生き物への影響が心配されますが、現在はWHOで認められた安全な薬品を使っているとされています。なお、孤独相のバッタに殺虫剤散布はほとんど行われていません。

では、大発生したサバクトビバッタが日本まで飛んでくることはあるのでしょうか。

幸いなことにアフリカで発生した蝗害が日本まで来ることは今のところないといわれています。サクトビバッタは低温が苦手です。寒いところでは動けなくなり、生きていけないため、ヒマラヤなどの山脈を超えることは難しいと考えられているからです。

ちなみに気温が低いと飛べなくなり動きもにぶくなるバッタは、簡単に手で捕らえることができます。

食用にできないのか?という素朴な疑問も生まれてきますが、大発生の初期は人里を遠く離れた場所や砂漠の奥の方だったりするため採集は難しいこと、市街地へ飛んできた時には既に殺虫剤を浴びている可能性もあって市街地のバッタを捕らえて食べることは禁じられているため、実際、食用にされてはいないようです。

味はというと「硬いがエビっぽくもある…」らしく、食べられなくはなさそうですが、甲殻類アレルギーの人は念のため食べるのは控えておいたほうがよさそうです。

大発生する前に発見することが難しい「群生相」となったサバクトビバッタを「アフリカで倒す!」と決心した日本人の勇者がいます。

サバクトビバッタに取りつかれた一人の研究者、前野ウルド浩太郎さんです。