2020年、アフリカでバッタが大発生した時の状況を見てみましょう。

この時の原因は、2018年、2019年にアラビア半島からアフリカ東部を襲ったサイクロンだと考えられています。

サイクロンによって砂漠に普段はないような雨がもたらされた結果、植物がたくさん育ちました。

その恩恵を受け、バッタが大量に増えたと考えられています。

急に増えた植物のおかかで幼虫も増殖。通り道の植物を食べつくしてしまう「数の暴力」
急に増えた植物のおかかで幼虫も増殖。通り道の植物を食べつくしてしまう「数の暴力」 / Credit: Wikimedia Commons

問題はここでたくさんの草を食べてスクスクと育ったバッタではなく、スクスクと育ったたくさんのバッタが産んだ卵です。

蝗害を起こすバッタは個体密度によって生態が変わる特徴を持っています。一般的に見られる緑色のバッタ、ぼっちで満足しているタイプは、単独で行動する「孤独相」と呼ばれます。

孤独相のバッタは、ぴょんぴょん跳ねるのに適した体の構造になっています。いわゆる普通のバッタです。

一方、パリピは多くの群れの中で成長したバッタで、「群生相」という姿に育ちます。アフリカの限られた地域で大量繁殖した結果、群れの中で生まれ育つ「群生相」、パリピのバッタになるわけです。

左が「孤独相」の幼虫、右は「群生相」の幼虫。パリピは見た目も派手になる
左が「孤独相」の幼虫、右は「群生相」の幼虫。パリピは見た目も派手になる / Credit: Wikimedia Commons/ナゾロジー編

群生相のバッタは孤独相のバッタと比べると、食欲がずっと旺盛です。見た目は緑色ではなく、黒っぽくなっています。羽根は孤独相のバッタより長くなり、成体になってからは飛翔し、時には風に乗って遠くまで移動します。

繁殖力も増すため、大量発生して広範囲を移動、旺盛な食欲で農作物を食い尽くして進んでいくため、大きな災害となってしまうのです。

たかが小さな虫のバッタですが、群生相となったバッタは食糧を求めて1日におよそ130km〜150kmも飛行する場合もあるといいます。移動しながら通り道にある植物を食べるので、そこが農地なら農作物が食い荒らされ、牧草地なら家畜の餌の牧草を食べてしまいます。