宮崎はそこがトロいと思ったようだ。「けっ、プリンセスを追い回していると観客にわかるまでも何分もかかっているじゃないか。この映画、俺なら10秒以内でわからせてみせるわっ!」
日本の天才職人によるプリンセスは「正しい姫君の追っかけ方を、これから俺が見せてやるから、お前らよく見やがれっ」
「どうだ、これでもう女の子が乗ってるってわかるだろうお前ら!次にだな…」
「どうだ貴様ら、①女の子カー、②おっさんカー、この二台はそれぞれ①逃げる、②追うの関係だってこれで一目瞭然だろうが」
「どうして追う側の車が、道路からいったんはみ出てからまた道に戻る(赤の矢印参照)のかわかるか。重量があるからカーヴしきれずはみ出したって? バカめ、①の速度に必死に合わせている、すなわち、①が②を追いかけていると一目でわからせるための技だ!」
「そして再び②が道路からはみ出るだろ。①を必死に追っていると、観客にわからせるためのアクションに決まってるじゃないか」
「これで①と②の力関係が、この二人には了解されるだろ」
「こいつが、がぜん燃えるだろ?」
「①と②のおっかけにどうして奴は割り込むのか?もっともな疑問だ。そこで相棒の男に俺はこんなセリフを言わせる。『どっちにつく?』」
「そしてこう返事させる。『オンナ!』『だろうな』 これでカーチェイス介入の動機を観客には説明しきってしまうのだよ。『奴は女好き』という基本キャラクターをここで生かすわけだな貴様らよく覚えておきな」
クラリスが宇宙船で逃げなかった理由「宇宙船どうしのチェイスだと、女の子をめぐっての追っかけとわかるまで時間がかかってしまう」
「だが、俺はそんなまだるっこしいことはしないぞ。とっとと女の子を見せて…」
「次に怪しい男どもを見せて…」
「若い女/怪しいおっさんチームの追っかけだと、一発で説明しちゃう。これが俺の流儀なのだよ」