しかし、元デンマーク代表MFのレジェンドでもあるミカエル・ラウドルップ監督は家長の実力を信じ、冬の移籍期間ギリギリの1月31日にブラジル人DFラティーニョを放出し、家長を選手登録。2月5日のアウェイ・オサスナ戦(1-1)で後半23分から途中出場、欧州デビューを果たし、2007年以来遠ざかっていた日本代表にも選出された。
ところが、翌2011/12シーズンに就任したホアキン・カパロス監督からは構想外扱いされ、出場期間が激減。前半戦の出場は4試合に留まる。家長は韓国Kリーグの蔚山現代や古巣のG大阪へのレンタル移籍を経て、2013-14シーズン約1年半ぶりにマジョルカに復帰し、リーグ戦7試合に出場した後に契約満了。大宮アルディージャに完全移籍し、J復帰を果たした。マジョルカでのリーグ戦成績は25試合出場2得点に終わった。
2017シーズンには川崎フロンターレに移籍してチームの黄金時代を築き、リーグ戦連覇した2018シーズンには、31歳にしてMVPにも輝いてキャリアの最高を迎える。38歳となった現在でも、不動の右ウイングとして欠かせない存在となっている。改めて振り返ると、欧州移籍が成功するかどうかは、実力に加え、タイミングと相性が重要なファクターであることを示している。
マジョルカには家長以外にもFW大久保嘉人(2021年引退)やFW久保建英(現レアル・ソシエダ)が過去に所属し、現在、日本代表FW浅野拓磨が活躍。日本人選手との繋がりが強いクラブだ。日本語版の公式Xアカウントを持ち、胸スポンサーも衝撃吸収素材「αGEL(アルファゲル)」の製造販売を手掛ける日本企業の株式会社タイカである。
一時期は欧州移籍を目指す日本人選手の一番人気だったラ・リーガだったが、今ではプレミアリーグに押されている印象がある。しかし、マジョルカのようなクラブがある限り、ラ・リーガから日本人選手がいなくなる心配は少ないだろう。