二つ目は、少数与党で苦労している石破政権ではあるが、石破さん自身、約10年前の初代の地方創生大臣であって、鳥取を選挙区とするご自身の地域への思い入れも尋常ならざるものがあるからである。たとえ政権が倒れても、地方創生策だけは、どんどんと進めて行くという強い思いと実行力があれば、浮かぶ瀬もあれ、というものであろう。
私もこの1か月で、古巣の経産省で地方創生を担う「経済産業政策局」の藤木局長以下の皆さまに呼ばれてレクチャーさせて頂く機会があったり、内閣官房の新事務局(新しい地方経済・生活環境創生本部事務局)の海老原局長以下の皆さまにも呼んで頂いてレクチャーをさせて頂く機会もあったが、常に強調しているのは、「民間企業主体」の地方創生の重要性ということである。
残念ながら、これまでの地方創生策は、国の予算などを元に、それを、自治体を中心とした各地に配分して行われるのが常であった。改めて書くまでもないが、①国も充分な財源を持っているわけではない、②自治体も疲弊しており、人的にも組織能力的にも各地の厳しい状況を逆転させるだけの体制がない、ということは自明であり、ここに、更に従来型の予算配分中心主義の地方創生策を講じたところであまり意味はない。
今般の地方創生の急所は、「各地で産業を起こして、各地が一種“経済的自立”を果たすような形に持って行く」ということに他ならない。石破総理が尊敬してやまないという田中角栄元総理の施策名を借りるとすると、「令和の日本列島改造」のようなことを、各地の食い扶持づくりと共に行っていくことが肝要となる。そこにおける主役は、各地の産業人・経済人である。
昔からのある言葉に、「企業城下町」というものがある。例えば、10万人~30万人といった単位のところに、それなりの雇用を創出する企業があれば、その地域は、うまく「外貨」を稼ぐことによって、十分に将来にわたってサステナブルな街づくりが出来るであろう。