③は、私や弊社もお手伝いしている前橋の太陽の会のような動きで、前橋出身で、JINSというメガネメーカーの創業経営者である田中仁氏は、本社移転や旅館の買い取り→改装してのデスティネーション化(アートホテル化)という意味では②は既にかなりのレベルで進めており、加えて、地域の経済人たちに一人50万円ずつお金を出してもらってストリートデザインをより充実化させる動きを作り出そうとするなど、凄いレベルでの地域活性に取り組む経済人である。

今年、1万円札の肖像に登場した渋沢栄一翁は、日本資本主義の父とも言われる方で、私利私欲に満ちての財閥化を希求せず、500社以上の設立に関わりながら、日本的な立派な経営人生を貫いた逸材として、世界的にも注目されてきた人物であるが(例えば、ドラッカーなども、その著書で渋沢の存在を激賞している)、まさに、上記のような経済人・産業人こそが、国や社会のための大いに貢献することを説いたことで有名である。

渋沢は、幕臣時代にフランスに滞在しているが、その際、産業人や経済人こそが従業員や地域の構成員のために大いに貢献するという「社会主義の実現」を目指したサン=シモン主義に傾倒し、後年、日本においてそれを実践したと言われている。

2025年、今こそわが国も、せっかく一万円札に登場した渋沢栄一翁の想いを大切にして、経済人・産業人を中心とした各地の活性化ということに舵を切るべきではないか。単に自治体等に交付金を配るのではなく、そうした主体との連携連合を政府中心に実現させ、上記の③のレベルなどに至る各地の地域活性を実現していくことが肝心である。

繰り返しになるが、今や、我が国の財政には余裕がなく、経済人を頼りに、官民連携を各地で大いに進めるという地方創生が鍵になる。そうした大胆な地方活性化策こそ、唯一、一般論としては厳しい日本の2025年に一抹の希望と光を与えてくれるものであると信じて疑わない。