ディニュからのボールをロジャーズがコントロールしている時、既にティーレマンスは最終ラインと中盤の間でフリーになっている。ロジャーズがトーレスまでボールを戻したため、そのタイミングでティーレマンスに渡ることはなかったが、トーレスがダイレクトでティーレマンスにパスを通し、ビラはキャッシュのシュートまでつながるチャンスを作る。

もちろん、ティーレマンスの反転する技術、ワンタッチで敵をかわす能力、スルーパスの技術、それらすべてが重要だったことは言うまでもない。


シティすぐに対応もビラ2点目

その後すぐ、シティはプレスの方法を変える。フォーデンを前線まであげ【4-4-2】のようにプレスをかけ始める。ビラのダブルボランチには、シティもダブルボランチを当て、問題の2人(ロジャーズ、ティーレマンス)にはウォーカーとリコ・ルイスを当てるようにした。

シティにとって2つ目の問題はこのプレスのかけ方によって、トーレスが解放されたことと、その先にロジャーズがいたことだ。ロジャーズがウォーカー、コバチッチを引き倒して進み決めたビラ2点目は「誰が対応するか?」という問題そのものを無為に期してしまうほどの活躍だった。

絶好調のウォーカーであればまた違った結果になっていたかもしれないが、少なくともこの日のロジャーズは2、3人でも止めることができない存在だった。


ジェレミー・ドク 写真:Getty Images

終始”怖くない”シティ

後半のシティは前半よりもさらに勢いをなくし、グリーリッシュも、後半から入ったFWサヴィーニョ、FWジェレミー・ドクも脅威にはなりえなかった。

唯一シュートを放っていたのはフォーデンだけで、ロスタイムにそのフォーデンが1得点を返すが、ビラのディニュが不運にもボールの上にのってしまったために取れた得点だった。