ベルギーという国は20世紀初頭にはレオポルド2世が皮肉にも「コンゴ自由国」と名付けた私領で過酷なノルマでゴム園経営をして数多くの死傷者を出しながら、この狂人が死亡する前年まで私領を取り上げることすらできなかっただらしない政府を持っていました。

そして、コンゴの独立を認めてからも国民の熱狂的な支持を受けていた初代ルムンバ大統領を独立翌年に配下のごろつきどもに殺させ、遺体をバラバラに刻むといった蛮行を黙認したとんでもない国です。

この国は人は陽気で、ビールもチョコレートもうまくて、他国を威圧するような軍事力も経済力も持ち合わせていないちょうどいいサイズのヨーロッパ中堅国ということになっていますが、一皮剥けばこういう残虐行為を平然とする連中に長年権力を握らせていた国なのです。

「レオポルド2世はコンゴ経済の発展のために自分のポケットマネーを使った名君だった」などというヨーロッパ人の言うことならなんでも真に受けてひたすら復唱するだけの「自称世界史マニア」の日本人がいるのも困ったものですが。

とにかく、アメリカの邪悪な建国の歴史と、西欧諸国に残虐行為を行わなかった国などほとんどないという事実はしっかり記憶しておくべきでしょう。もちろん、ヨーロッパ諸国に比べればはるかに短期間にとどまったとはいえ、日本もまた植民地獲得競争で近隣諸国に多大な被害を与えたことも、忘れてはいけませんが。

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編集部より:この記事は増田悦佐氏のブログ「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」2024年12月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」をご覧ください。