この時期に、非特権階級の中でも最底辺の黒人奴隷たちが特権階級だけで構成された連邦政府に楯突いた際の、特権階級による報復は酸鼻を極めるものでした。
こうして見てくると、現在のアメリカ政府がイスラエルによるパレスチナ人ジェノサイドを全面的に支援しているのは、連綿と続く有色人種一般の人命を軽視した上で、白人と対等に渡り合えるとは思うなよという見せしめ政策の一環だとわかってきます。
密接に関連する植民地支配と人間動物園アングロサクソン系が支配している国での先住民殲滅戦争は決してアメリカに限定された現象ではなく、オーストラリアなどでも行われていたことは、先ほどご覧いただいた表でも明らかですが、オーストラリアではアフリカから黒人奴隷を輸入するには航海期間が長すぎ、奴隷輸送の歩留まりが悪くなることはわかりきっていたにもかかわらず突っ走って、その結果オーストラリアは慢性的に労働力が不足がちな国になっています。
そしてオーストラリアの先住民アボリジニの扱い方は、アメリカンインディアンに対する連邦政府の姿勢すらまだマシと思えるほど過酷なものでした。
そして、この非人間的な差別は多少かたちは変わっても、第二次世界大戦後まで続いていたのです。アボリジニに生まれついたら、どんなに突出した才能を示した人でも、オーストラリア白人の管財人の許しを得なければ自分で稼いだカネさえ自由に遣えないという状態でした。
私が今も鮮明に覚えているのは、私より2歳年下のアボリジニの天才テニス選手イボンヌ・グーラゴングが、こうした差別待遇の不当性を訴えながら、大きな世界大会で活躍しつづけたことです。
そして次は、今回の図表の中でいちばんショッキングな写真2枚をご覧いただくことになります。
左上は、おそらく何度も脱走を試みては失敗して連れ戻され、そのたびに背中に一生傷が残るような鞭打ち刑を受けた黒人男性の写真です。一回でこれだけの鞭打ちを受けたら、生きていられなかったのではないかと思えるほど大きな傷がいくつも残っています。