仲間や家族を殺されて、頭皮を剥がれた無残な遺体になっているところを見たインディアンは、復讐のために白人を殺したときにその頭皮をはがすようになっただけです。
とにかくヨーロッパ白人は「我々が奴らを絶滅寸前まで追い詰めなければ、奴らが我々を絶滅させていただろう」という論法で自分たちの行為を正当化したがります。つまり世界中どこに行っても、自分たちの敵は自分たちと同じくらい残虐だと決めつけているのです。
ヨーロッパ帝国主義の序列は先住民殲滅度で決まっていた本当に残念なことに15世紀末以降のヨーロッパ諸国によるアジア・アフリカ・南北アメリカ・オセアニア侵略の過程でどこがどの位成功したかは、どの程度徹底的に先住民を殲滅したかで決まっていたようです。
イギリスの場合、あれだけ多くの地域に植民地をつくりそれぞれの植民地には先住民がいて、多くの場合そこに黒人奴隷まで持ちこんだのに、白人と黒人の混血を表す単語も、白人と先住民との混血を表す単語も存在しないほど、混血を忌避する植民地統治をしていました。
とくに白人と黒人との混血の場合、見ただけで奴隷と分かる黒人の人種的特徴があいまいになることを極端に恐れていて、だからこそ黒人の血が一滴でも入ったら、その人間は外見が白人にしか見えなかったとしても、黒人奴隷として扱うことにしていたのです。
そしてもちろん、「我らは、すべての人が平等に生を享けたという真実を自明のことと信ずる」という格調の高い書き出しで始まる『独立宣言』でいう「すべての人」には黒人も先住民も入っていないこともまた、自明の前提でした。
今、「そもそも選挙権を成人した国民全体に与えることが間違っている。アングロサクソン系のプロテスタントで、資産を持つ成人男性だけに選挙権を与えるべきだ」と言った議論が、またしても公然と主張される世相になっています。
この一見時代錯誤な主張は、しかしながらアメリカ国民があまり向き合いたがらない冷厳な事実、つまりアメリカが世界最大の軍事力を擁する経済大国にのし上がる過程では、選挙権はごく一部の資産家の男性だけに与えられた特権だったことを正直に指摘しているのです。