奴隷を機械に見立てれば、稼働期間中生産物を産み出してくれるだけではなく、ふつうの機械なら耐用年限を測りながら毎年減価償却費を積んで、耐用年限が来たときに新しい機械を購入する必要がないばかりか、たいていの場合外部に売り捌けるほど多くの機械を生み、そしてなるべく奴隷主にとって手間のかからないように教育までしてくれるのです。

深く考えるほど悪辣さがわかるアメリカの生い立ち

次の図表は、自分が生まれ育った国土を奪われ、絶滅寸前まで殺されつづけてきた先住民(インディアン)と、生まれ育った国から強引にアメリカまで連れてこられ、自分だけではなく子どもや孫まで奴隷として働かされた黒人が並んだ写真となっています。

はじめは偶然だったかもしれませんが、アメリカ植民地に乗りこんだイギリス人たちは、風土をよく知っていて逃げ出されたら連れ戻すのもむずかしいインディアンは絶滅寸前まで殺しつづけることを意図的に追求するようになりました。

一方、逃げ出しても風土を知らないので野生の動植物を食べて生き延びるのも困難で、おまけに遠目でも奴隷だとすぐわかる黒人を奴隷として使役するシステムは、独立戦争の頃にははっきりとした政策目標になっていたと思います。

にもかかわらずと言うべきか、だからこそと言うべきか、アメリカの著名な白人たちは「もし我々が彼らを皆殺し寸前まで追い詰めなければ、彼らが我々を絶滅させていただろう。だから我々の行動は正しかった」と言いたがります。次に引用するジョン・ウェインのことばはその典型でしょう。

そして、このことばを引用したX投稿者も書いていて「インディアンの残虐さの象徴」と言われることが多かった殺した白人の頭皮を頭蓋骨から引きはがすという行為も、じつはニューイングランドの州政府が老若男女を問わず、インディアンをひとり殺すたびに報奨金を払うという制度から始まったことでした。

「殺した証拠に生首を持ってくるのはとくに大勢殺した場合には大変だろう。だが、鼻や耳をそぎ落としただけではまだ生きている可能性があるからこれもダメだ。頭蓋骨から頭皮をはぎ取るのは、死体相手なら簡単だが、生きた人間が相手だとむずかしい。だから持ってきたインディアンの頭皮1枚当たりで報奨金を渡そう」ということだったのです。