しかしトランプからゴーサインを受け取った現イスラエル政府は、ハマスが人質を解放しようがしまいが、生きたパレスチナ人がひとりもいなくなるまでガザでの無差別殺戮を止めないでしょう。
明らかに民間非戦闘員を意図的に大量虐殺しても「ハマスの戦闘員が後ろに隠れていると思った」と言えば、アメリカ政府はおとがめなしでやりたい放題をさせるに決まっているからです。
もちろん、イスラエル政府がやりたい放題をできる直接の理由は、有力政治家やいわゆるオピニオンリーダーの大半がイスラエル=軍需産業ロビーから大金をもらいつづけ、それと同時にエプステイン・コネクションなどを通じて、公開されたら地位も名声も失う映像をイスラエルのモサドに握られているからです。
邪悪だったアメリカ建国の理念しかし、もっと本質的なところでアメリカ建国の理念がいかに邪悪なものだったかをふり返ってみる必要があります。次の図表をご覧ください。
独立宣言も間近に迫った1770年の英領十三植民地(のちに建国の十三州)それぞれで、奴隷が何人いて、それは州総人口の何%かを示したのが右側の地図グラフです。奴隷の多い南部諸州では総資産の所得に対する比率がいかに高くなっているかを示したのが、左側の棒グラフです。
まず、奴隷が明らかに多数派だったとわかるのは総人口の60%超だったジョージア州とサウスカロライナ州の2州だけ、ほぼ半数だったのが40~60%に塗り分けられているバージニア州、それ以外の10州では奴隷は総人口の40%以内にとどまっていました。
しかし、奴隷人口の多かった南部では奴隷の資産価値が州全体の年間所得の2.5年分というほど高く、南部諸州と北部諸州の資産格差はほぼ全面的に奴隷を大勢持っているかいないかで決まっていたのです。
アメリカが独立を宣言した1776年は、アダム・スミスの主著であり、古典派経済学の礎石を築いた書でもある『国富論(諸国民の富)』初版が刊行された年でもあります。