過剰流動性に起因するインフレ爆弾は炸裂寸前だ。そして、資本主義を操縦していると自負している人々の自信も揺れている。日本銀行の幹部達の利上げに関するチグハグな発言がそれを象徴している。(私の論稿「名もなき暴落①~⑥」に掲載)
エリートだけではない。働く人々の希望も明らかに減退した。働き甲斐を感じている人は少数だ。日本中から活力ある職場が失われている。労働組合は弱体化し、たとえあっても役に立たない。日本中で、「今だけ、金だけ、自分だけ」が蔓延している。
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青春時代、私が受験生だった頃、長野県の木崎湖畔に一ヶ月滞在したことがある。勉強スケジュールのなか、楽しみは夕食前にNHKのテレビを見ることだった。人気のあった人形劇のテーマソングを今でも覚えている。
♪ ひょうたん島はど~こ~へいく。僕らを乗せてど~こ~へいく~。♪
今になって考えた。ここで言う僕らは乗客なのか、それとも乗員なのか。
著者は「資本主義の変革はそこに生きる意識の転換にかかっている」と主張する。
私はこれに、単純な観念主義には同意しないという前提をおいて、賛成し、著者の研究の進展を期待する。
進め!ひょっこりひょうたん島 、水平線の向こうには何かが待っているのだから。
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『漂流する資本主義 新たなパラダイムを求めて 現代資本主義全史』