私的なTFゆえに、構成員の人選も偏っており、構成員が様々なテーマで発出した提言は首を傾げるものが多かった。しかし、当該大臣が当時の与党において有力な議員であったことから各省庁の政策に一定の影響力を持っていた実態がある。監視等委における検討も例外ではなかったわけであり、このような歪んだ圧力を受けて、独禁法の通常の運用を踏み越えた措置を決めてしまったことは適切であったのか。

内容の面でも、監視等委が細部にわたって旧一電等の行動を監視・評価することとなっており、評価項目には、発電部門と小売部門の情報遮断のための社内規定の作成を求めるなど、不可欠施設である送配電部門並みに発電部門を中立化しようとしているような項目も含まれている。法的独占が維持されている送配電部門と異なり、競争により淘汰されるリスクを負っている発電部門に対して、ここまでの縛りを定めるのは適切なのか。旧一電等の取引費用を徒に増加させるといった弊害はないのか。

内外無差別な電力卸売の受益者は自社で電源を保有していない新電力等であるが、旧一電等の対応が画一的な入札公募に偏ってしまい、却って利便性が損なわれたという話も聞く。監視等委の評価基準を見ると、各社に卸標準メニューの設定を求め、それと異なる契約には合理的な説明を求め、卸契約の期間設定にも合理的な説明を求め、というように、合理性の説明責任をもっぱら事業者が負う形となっていることが大きな要因ではないか。

新電力が個別のニーズから標準とは異なる契約を求めたとしても、旧一電等側にその差異の合理性を説明する責任を負ってまで実現しようするインセンティブは生じ難いだろう。これは、取引費用が徒に増加している実例と捉えることもできる。

4.3 経過措置を残置したままの内外無差別は適切か

日本の電力システム改革では、2016年に一般家庭を含む低圧需要家への小売供給に対する新規参入が解禁された(小売全面自由化)。