アインシュタイン以前、「時間」と「空間」は誰にとっても絶対的であり、不変であると考えられていました。
しかしどんな速さで進む人にとっても光の速さが変わって見えないのであれば、どんな人にとっても光の速さが常に一定(秒速29万9792キロメートル)に見えるように、時空間の方を調節しようというのです。
例えば、光速の60%で移動する人にとっては、光の速さが秒速29万9792キロメートルになるように時間の方が遅くなります。
要するに「時間」と「空間」の感じ方は絶対不変ではなく、それぞれの速度で進む人によって相対的に変わるものとなるのです。
これがアインシュタインの唱える「相対性」の基本的な意味となります。
簡単なイメージを挙げるとすると、地上にいる人の1時間は、光速に近いスピードで移動する人の1分に相当するようなものです。
これは空間でも同じで、地上にいる人からは10メートルに見える棒が、光速に近いスピードで移動する人にとっては1メートルに縮んで見えるという現象が起きます。
ではもっと具体的に、光に近い速さ(亜光速)で宇宙を旅すると、地上にいる人とはどれくらいの差が現れるのでしょうか?
亜光速でちょっくら火星にでもひとっ飛びしてみましょう。
亜光速の旅で「時間の差」はどれくらい出る?光速に達した世界とは
物理的な思考実験によると、亜光速で宇宙を旅している人は、地球で待っている人よりもゆっくりと年を取ることになります。
では、光速の90%の速度で火星まで飛んで、地球に帰ってくるとしましょう。
総走行距離を4億5000万キロメートルとし、一度も止まることなく亜光速で往復したとすると、地球にいる人からは約16分40秒経過していることになります。
しかし亜光速で移動した人にとっては約8分20秒しか経っていないのです。
あまり差が出ていないようにも見えるので、もう少し大胆に宇宙旅行をしてみます。