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――続編が出た後、スマイルアップから苦情が出ましたが、今はもう終わっていますか。
インマン氏:はい。あの後は、何もなかったようです。
――スマイルアップの抗議文を読んでいて思ったのですが、メディアに取材された場合、事前に打ち合わせをして、内容をすりあわせることが普通になっているのかな、と。忖度をせずに、ずばり出してしまうことに慣れていないのかな、と。このような形の抗議をするとは、驚きました。インタビュー部分だけを独立させた約35分の動画を見ても、東山氏が言ったことをその通りに伝えたように見えたのですが。
インマン氏:フェア(公正)でないと信頼できる番組作りは(できない)。毎回毎回フェアでないと。一回間違えてしまうと、次もフェアじゃない、これもフェアじゃないとなってしまう。
私たちもジャーナリストとして、できる限り真実を伝えることが大切だと分かっているので、まさか東山さんの言葉をこじらせるとかそういうことはしない。どちらかというと一番フェアにできるように工夫したと真剣に思っていました。これは私だけじゃなくて、編集者もいるし、その上の人もいるし、いろいろなレベルの人がいますので、私一人の決め事ではありません。
東山さんとスマイルアップからの苦情が来たときは、全部自信を持って、私たちはフェアに言われたまま放送しました、ということが言えたのです。
――日本と英国のジャーナリズムの違いもあったのかもしれません。英国では取材対象者が恥をかいてもいいから、真実を出そうとする。日本はそれは避けようとするのかもしれません。
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――振り返ってみると、ジャニーズ事務所での性加害を扱った番組の目的として、被害者の声が届くようにという思いがあったということですね。
インマン氏:それですよね。被害者の味方になれればというのと、今後の子供の安全をどうやって保障するのか、ということです。それはスマイルアップだけでじゃなくて、社会全体でどうするのかと。明らかに何かが起きていたのに、誰も声を出さなかった。いろいろなところで、(声を出す・報じる)チャンスはあったかと思うんですけれども、みんなが目を背けていた。そこをどうやって見せるのか。