このジャニーズの話は、芸能界のストーリーだけじゃなくて、警察のストーリーでもあるし、子どもの安全を守る社会のストーリーでもあるし。日本の縦社会や、「出る杭は打たれる」とか、そういう面も反映する問題で、いろいろなところにタッチする番組だと思っていました。
私は(日本について知っているという意味では)中の人でもあり、モビーンさんを通して外から見ることもできたのでよかったんです。外から見ると、本当に白黒、結構見えてくるので、それはすごくよかったですね。
――「外からの視点」で気づいたことがあります。このドキュメンタリーの中で、モビーンさんがジャニーズ事務所に取材を申し込みますが、なかなか実現せず、事務所に実際に行っても、その場で面会を断られてしまいます。そこで、モビーンさんが「日本の大きな企業として、説明責任を果たしていない」という趣旨のことを言って、怒る場面がありました。日本人である自分としては、ジャニーズ事務所にとっては都合の悪い話を暴かれる媒体の取材を受けることはないだろうという認識がありました。断られても、「しょうがないよね。まあそれはそうでしょう」と。ですので、モビーンさんが怒るという行為にびっくりしました。でも確かに企業側には説明責任があるわけです。それに気づかされて、ハッとしました。
インマン氏:日本は受け入れてしまっているところがあります。ジャニーズ(事務所)はこんなにいいことをして、みんな(ジャニーズのタレントを)愛しているんだから、そこまで悪いことをしているんじゃないだろうなどと言って、許しているようなところがあるます。
でも、子どもへの性加害を許すというのはーー誰にとっても性加害は許せませんがーー子どもへの性加害は本当に、この社会で許せないし、一切許すことではないのです。それはどんな言い訳も聞かない。
――番組放送の後で、日本で喜多川氏による性加害問題の波紋が広がりました。次々と被害者が声を上げだし、最終的にはジャーニズ事務所は解体していくわけですが、驚かれましたか。どのように見ていらっしゃいましたか。