私もいろんな取材をして、いろんな人に会ってきているけれども、被害者の方の本質というか、精神はくらべものにならないほど・・・

――凄かったですね。ある方は、もう亡くなっていらっしゃる方ですが、結婚をしたら被爆者であることが分かって、離婚されてしまいます。

インマン氏:そうですね。

――女性としてはつらいですね。自分としてはすごくつらいエピソードでした。

インマン氏:つらいですよね。あと、子供を産むか産まないかという大きな決断をしなければいけない夫婦もいました。

――日本政府は広島や長崎に原爆を落とされたことについて、アメリカに怒りというか、抗議というか、そういう気持ちをはっきり伝えているのだろうかと知りたくなりました。終戦後は米国を筆頭とする連合軍に占領されてしまいましたね。

インマン氏:報道制限もありました。報道制限自体が知られていないと思うんですよね。

――日本では公開されましたか?

インマン氏:日本で公開したいと強く思っていて、今、いろいろと交渉中です。

――公開してほしいですね。知らない人も多いですから。自分は日本人としてこういうことは知っていると思っていたんですけれども、まだまだ知らないことがたくさんありました。文章で読んではいても、人の顔や声を通して聞くと、全然違います。

インマン氏:どんなことを知らなかったんですか。

――被爆者が差別的に扱われてきたという部分です。知識としては読んでいて知っているつもりでも、実際に話を聞くと、「ああ、こういう風に差別を受けたんだ」と腑に落ちました。病院で検査をしてもらっても、その結果を教えてくれないとか。日本人としても、学ぶことがたくさんあって、勉強になりました。広島に行けば、被爆者が子供たちなどにトークをしています。でも、それが東京ではほとんど見かけません。ウクライナやガザの戦争もありますし、原爆の証言は現在でも非常にリアル感がありました。アメリカでも放送してほしいですね。番組の中では、原爆を落とした米国のトルーマン大統領がなぜ落としたかを国民に向かって説明する場面がありました。