とりわけ粉末化現象とともに、高齢者の孤独、孤立そして「孤独死」や「孤立死」などの問題が顕著になるので、社会学を軸として社会科学の総合的観点からの対応策を考えてみたい。

第4節 新しい福祉社会システムの構築論

「少子高齢化時代に求められる新たな社会の仕組み」

11月20日に刊行された『圓一フォーラム』(通巻392号)の「政策オピニオン」で、宮本は「少子高齢化時代に求められる新たな社会の仕組み」について多方面から論じた(宮本、2024)。

社会保障、福祉、家族支援の視点からの新しい社会システムの構築論なので、私のこれまでの「粉末社会」研究テーマとも符合するところがたくさんあるので、その主な論点を検討しておこう。

宮本は人口減少と少子高齢化をセットで論じて、まずはその量的側面と質的側面を概観したが、いずれも社会変動として把握できる論点が明示されていて、分かりやすい整理になっている。

量的な変化としては、少子化、総人口の減少、高齢化率の増加、多死社会の到来、高齢者の一人暮らしの増加、高齢者は支えられるだけではなく、支える側にも回る必然性、その結果としての世帯の多様化と世帯の地域社会からの孤立などがあげられている。

「互助」型強化社会

一方、質的変化の筆頭には、家族機能の縮小、地域における互助機能の縮小、社会的連帯の低下、コミュニティ意識の薄弱化などが列挙された。

これらすべては私も「上」(12月6日)で指摘したが、いずれも単身化すなわち「単独世帯増加」が遠因であり、縮小した家族機能をいかに「社会化」するかが次のテーマにつながった。

宮本は「ドイツの家族支援策が非常に参考になる」として、ドイツの介護保険や家族支援について紹介した後、日本での「縮小社会への対抗手段」として「地域共生社会構想」を提示した。それは周知の自助、互助、共助、公助を柔軟に組み合わせたモデルであり、「『互助』型強化社会」と命名された。