要点まとめ

家族の構造と機能が変化し、個人化・少子高齢化が進む中で、「粉末社会」と呼ばれる単独世帯化が顕著になっている。これに伴い、家族が担っていた機能は縮小し、公共的支援や民間サービスが重要性を増している。宮本の提唱する「互助型強化社会」や「五助」モデルは、家族支援と福祉社会の新しい方向性を示唆するものであり、特に民間企業による「商助」の役割が注目される。

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第3節 家族の変容と生活様式の変化

前回(12月6日)の「上」を受けて、「下」ではそこでの支援方式について、一定の整理を試みる。なぜなら、「粉末社会」の到来によって、家族もそこで生きる個々人の生活様式も変化を始めたからである。

「人口変容社会」における日本家族を取り巻く家族の変化は、高齢化、少子化、小家族化の3点に集約される。

(前回:単身化が進む「粉末社会」の支援方式(上))

家族の定義

社会学では実に様々な立場から家族の定義がなされてきた。

太平洋戦争終了から少し後に出された家族研究では、戦前の大家族制のなごりを含みつつ「家族は、一つの家に限定せられた親族の共同體、すなわち夫婦共同體、親子共同體、兄弟共同體もしくはより遠い親族の共同體の全部、またはその一つを内容として形成せられる」(清水、1953:1)とされている。

団塊世代までならば、この定義の背景もよく分かるであろう。

家族精神の崩壊

その後、産業化が進み始めて、地方では代々の専業農家の経営が苦しくなり、農家の次男三男を始めとして長女次女なども含む若年層が、大都市圏の工場と商業施設へと大量に就職・移動した。一人当たり農業生産額と工業生産額の格差によって農業離れが進み、全国的に「離村向都」や「挙家離村」が激しくなり、それまでの日本の大家族制は崩壊した。

その結果、大家族が保有していた「4つの集団的拘束力、すなわち精神的、物質的、機能的及び統制的拘束力の消滅」(同上:144)状態が普遍化した。