この生活様式の大変化について次にまとめておこう注8)。たとえばドイツのシュトレークが現代資本主義研究から一般化した生活様式の変化の要約は、この30年来の日本でもその家族変容によって、現代日本人の生活様式の変化にも十分適用できる(シュトレーク、2016=2017:301-306)。
① 少品種大量生産の製造業が主流:通勤する父親、専業主婦、子どもからなる核家族の定着 ② 婚姻率の低下、出生率の低下、婚外子の増加:少子化の普遍化 ③ 女性の職場進出:労働市場の変化 ④ 消費社会の成立:女性を家庭から押し出し(プッシュ)、市場に引き込む(プル) ⑤ 個人的ライフスタイルの完成:独身男女が、自分の稼ぎで生きていく ⑥ 家族の崩壊:婚姻家庭を作らず、事実婚に止まる ⑦ 資本主義経済に大量の女性労働者が参入:労働組合組織率の低下、失業率の上昇、ストライキは消失、賃金上昇圧力は弱まり、雇用者側・資本家は利潤率を上げるようになった
既婚女性と未婚女性の生き方を変えたことが基盤いずれも資本主義の高度化において、産業化の進展に沿って発生した家族変動が男女の伝統的な生活様式の見直しを迫り、既婚女性と未婚女性の生き方を変えたことが基盤にある。
このシュトレークがまとめた①から⑦までの生活様式の変化は日本の「粉末社会」でも同じだから、そこでの個人を支える手段もまたこれまで以上に細かな論点を探求せざるを得なくなる。
2045年以降はすべての都道府県で世帯総数は減少たとえば、国立社会保障・人口問題研究所による「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」(2024年11月12日)によれば、平均世帯人員が2人を下回るのは、2020年では東京のみであるが、2030年になると9つの都道府県に増える。
さらに2040年では表5のように過半数の24都道府県が該当し、2050年では13の県(山形県、新潟県、富山県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、滋賀県、奈良県、鳥取県、島根県、佐賀県、熊本県)はかろうじて2.00人以上を維持するが、34都道府県がそれを割り込むようになる。