そうした中、トランプ政権は温暖化防止を顧慮せず、国内エネルギー生産の拡大、エネルギー価格低下を最優先する一方、対外的には対中貿易戦争が激化するだろう。EUではドイツでは社民党・緑の党の連立政権の退陣が確実視され、フランスでも政局流動化が起きている。エネルギー価格が国際競争力に与える悪影響や米国とのコスト差拡大への懸念が高まりつつある。
2024年10月のBRICS首脳会議が示すように中国、ロシア等は欧米主導の国際秩序への挑戦を露わにしており、EUが導入を進めている炭素国境調整措置(CBAM)に強く反発している。他方、中国は米国のパリ協定離脱を非難し、「中国こそがマルチの国際枠組みの守護者である」と宣言するだろう。
このような混沌とした国際情勢の中で、温暖化問題に対する国際的取り組みがどの程度進むのか、進まないのか。日本の国内政策にも大きな影響を与えるだけに、その趨勢を注視する必要がある。