■ 高校の非常勤講師をしている際に生徒から聞いた言葉を収録した説が濃厚か
詳しく聞くと、著書「鹿児島弁辞典」は、自らが耳にした言葉を中心に収録したもので、実際にはルーツが鹿児島弁でないものも含まれているそう。
今回の「あげぽよ」「さげぽよ」についても、はっきりと覚えてはいないものの、おそらく「教員時代に生徒が話していたものでは」と、石野さん自身も推察しています。
たしかに「あげぽよ」「さげぽよ」が流行した2008年~2010年ごろは、石野さんが高校の非常勤講師をしていた時期とちょうど重なります。
つまり「流行に敏感な高校生らが、鹿児島弁独特のイントネーションで発した『あげぽよ』『さげぽよ』を聞き、『鹿児島弁っぽいな』とメモしておいたものを書籍に残した」……と、考えられるのではないでしょうか。
■ 実はこの本、辞典といいつつ「学術書ではない」
辿り着いたのは意外過ぎる真実。そんな不確かな情報を書籍に載せるべきではない……という声も聞こえてきそうですが、あながちそういう訳でもありません。事実が書かれていない書籍などごまんとありますし、この書籍の前書きには「この辞典は学術書ではない」としたうえで、あくまで「方言と標準語を調べる便利帳として使って欲しい」と記されています。
また、「方言の域に入れたほうがいいのか、標準語の中に入れたほうがいいのか判別しがたい言葉もある」「言葉とは社会を往来する生き物だから、場により、時により、人により多少の違いがあるように思う」「方言と思っている言葉が実は標準語であったものもある。そこはご容赦願いたい」といった一節も。
こうした書籍の内容や、今回のインタビューを通して、少なくとも筆者には「言葉」や「方言」に対する、石野さんなりの哲学を感じ取りました。どちらかと言えば、書籍の内容の一部を切り取って、その部分だけを鵜呑みにすることの方に危うさを感じます。
以上が今回の調査結果となりますが、念のためWebサイト「【公式】鹿児島弁ネット辞典」の編纂委員長や、サイト内で編集団体として紹介されていた「鹿児島弁検定協会事務局」にも連絡をしてみましたが、いずれも記事執筆までに回答を得ることは叶わず。
サイト内に収録している言葉の出典や文献として、今回の石野さんの著書「鹿児島弁辞典」も挙げられていましたが、掲載や音声の収録に至った経緯をぜひ聞いてみたいところでした。もしかすると他の文献に載っているのかもしれませんし。 とはいえ、現在ネットで話題になっている、「鹿児島弁辞典」を根拠にした「あげぽよ」「さげぽよ」が鹿児島弁説は、著者自ら根拠は「明確にはない」と回答している事だけは事実。
今後新たに分かることがあれば、追記なりで続報していきたいと思います。
<記事化協力>
「鹿児島弁辞典」石野宣昭さん
<参考・引用>
GRP「ギャル流行語大賞2022」
鹿児島弁ネット辞典
(山口弘剛)
提供元・おたくま経済新聞
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