■ 鹿児島出身者に聞いたことがあるかXで呼びかけてみた
辞典には載っているのに、聞いたことがない。こうした場合にはいくつかの理由が考えられます。
・かなり古い方言で現在では使われていない
・鹿児島の中でもごく限られた地域でのみ使われている
・何か別の方言と聞き間違えた
編集部では恐らくこの3つのどれかではないかと、仮説をたてました。
そこでまずは、筆者個人および、おたくま経済新聞のXアカウントにて、鹿児島出身者に対して質問を行ってみましたが……やはり鹿児島弁として実際に聞いたことがある、使ったことがあるという方は現れず。
回答は広範囲からよせられ、島の方たちも協力してくださいましたが、みなさん首を捻るばかり。中には祖父、祖母世代にも聞いてくれたと言う人や、気になりすぎて地元の図書館に行き鹿児島弁に関する本を10冊調べたけれども、「鹿児島弁辞典」にしか載っていない……と教えてくださった方も。
他にも寄せられた声の中には、編集部の仮説にある「聞き間違え」を同じく疑う人も。例として、次のように考察してくださいました。
「『あがっとよ』で、発音が『アゲドヨ』に近い、聞き慣れないとドがポに聞こえるかも」
「鹿児島人は文節の後ろを高く伸ばして発音するクセがある、と言っていたのを聞いたことあり。それは確かに『あ↓げ↓ぽ↓よ↑ー』の発音と似てるな、と」
言われてみればそれっぽいですが……やはり、確証を得られるまでには至りませんでした。
調査にご協力いただいた方には、この場を借りて改めてお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
■ 著者本人に直撃 結論は「鹿児島弁であるという確証なし」
あれこれと考えたところで、答えは出ないため、これはもう書籍の著者に直接たずねてみるしかありません。書籍巻末に書かれていた連絡先に問い合わせてみると……なんとすぐに著者本人に繋がりました。
「鹿児島弁辞典」の著者は「石野宣昭」さん。鹿児島県内で長く中学や高校の教職についていた方で、もちろん出身も鹿児島県。すでに退職してはいるものの、その後も非常勤講師として県内の高校で勤務していたそうです。
突然の連絡にも関わらず、非常に快く応対してくれた石野さん。結論から言うと、「あげぽよ」「さげぽよ」が鹿児島弁である、という根拠は「明確にはない」とのこと。な……なんちな!