そういう「2020年代全体」ぐらいならまだいいが「その先」まで見据えた「本当の多極化」の時代の準備が、日本政治において始まったのだと考えるといいのだと思います。

その状況の中では、「現実に対する責任感があれば当然に親米、それがなければ反米」という構造ごと崩壊してくる。

で、「反米型の理想論」を言っていた人も、(アジア版NATOもその一つではあると思いますが)、実際に「多種多様なエゴがぶつかりあう国際社会」に放り出されてみたら自分が考えてた書生的理想論など全然ダメだったね、と気づくことになる・・・でもそこからが本当のスタートで!

「反米か親米か」みたいな概念的二項対立ではなくて、徹底してリアリスティックに国際パワーバランスの刻一刻の変化を読み解いて現実的なアクションを考えていける勢力が、僕がいつも言ってる(後述する)「M字から凸字へ」を求める強い民意の中で賛同を得ることができる流れになっていく事になるでしょう。

そういう意味ではなんか、今後10年20年レベルで見た時の「日本の方向性」には案外フィットしているのが石破路線・・・というところがあるのかなと思います。

経済政策の方はなんか全然期待できませんけど、期待できない部分が逆に「余計なことしなさそう」という意味で好感が持てるw

5. イデオロギーでなく現実の解きほぐしを…という反骨精神の時代

結局、「安倍時代」があれだけ盛り上がったのは、その前に「左派のやりたい放題」があって、そこに巨大な恨みが溜まっていたし、米中冷戦時代の新しい安全保障の枠組みが作らないとヤバいという非常に現実的な課題もあって、そこに一気にエネルギーが噴出した現象だったということですね。

でもその「溜まりに溜まった恨みのエネルギー」も「それが必要とされる事情」も両方もうないからね。

強化された日米同盟と「自由で開かれたインド太平洋」はもう「動かしがたい現実」として確立してて、もうこれ以上は過剰に中国(中国政府はともかく普通の中国人も含めて)を敵視するような言論を放置するほうがヤバいみたいな情勢になっているし。