だから「現実」的には今すぐレベルでは全然フィットしない。

しかし、例えばこの笹川平和財団の「アジア版NATO」に関する記事を読むと、↓「超長期的なトレンドとして見て、アメリカの国力が圧倒的でなくなってきて、中国との拮抗状態が深まり、中国の態度が悪いという状況が続けば現実味を帯びてくる可能性がある」と述べられています。

まさにアジアにおいて各国の長期・中期・短期的利益が複雑に錯綜しており、容易に利益の一致が見られない現状こそが、アジア版NATOが現実的と見なされない理由であろう。(中略)

アジアでは当面このような図式はないが、今後、中国の覇権国家としての性質がますます露わになっていく、またアメリカの国力が相対的に衰えてきたことをアメリカ自身が自覚するにつれて、地域の個別国家への侵害行為が積み重なるにつれ、またアメリカの国力が相対的に衰えてきたことをアメリカ自身が自覚し、孤立主義への復帰が懸念されるようになるにつれて、地域全体の問題として、アメリカを引き止め中国を抑止するためにアジア版NATOのような組織を切実に必要とするようになるという状況も十分に予見されるのである。

アメリカと中国との差が圧倒的だった時代は「日米同盟」だけで良かったけど、差が縮まってきたら「自由で開かれたインド太平洋」が必要になってきた…みたいなのを「さらに推し進めた」ところにアジア版NATOのビジョンはあるという感じに(一応は)言える。

結局、アメリカの存在が世界の平和を保ってる現実は(まだ一応は)あった時代には、日米地位協定改正とか基地問題とかの「反米」運動って、それ自体だけをストレートに押し出していくと現実と全然合わないというか、「まじで戦争になるからやめろ」という感じで抑圧せざるを得なくなってきたわけですよね。

一方で、今後2020年代はまだいいとしても30年代40年代になっていくに従って、いざ本当にアメリカが「重要な存在ではあるがあくまで多極的構造の中の一つ」みたいになっていく事になったら、「そのあまりに複雑な状況における平和の維持」という難行に自分の責任で対処する気があるのなら、当然「地位協定」みたいな話も言い出せる情勢に当然なるよね、ということなんですね。