仲村:正直チームは過渡期にありました。僕の移籍前まではリーグ3連覇(2016-2018)をしていたのですが、育成重視で高卒選手をたくさん獲得して育てて売るという方針に変わっていました。その1年目だったので、プロ経験のない選手がほとんど。U-23のチームでしたが、大半はU-19。アマチュアや学生気分が抜けない選手も多くて、僕がミーティングを開いて若い選手たちの意識を変えていこうとしても、なかなか響きませんでした。この雰囲気に流されちゃだめだと気を引き締めながらプレーしていたので、逆に自分自身にフォーカスすることができ、8ゴール9アシストの結果を残したことで、他のクラブに移籍するチャンスを掴みました。

ーシンガポールリーグでは2024シーズンに髙萩洋次郎選手、過去には李忠成選手といった元日本代表選手もプレーしていましたが、現地での日本人選手の評価は?

仲村:日本人選手に対する評価はすごく高いです。日本人は良くも悪くも扱いやすいと思うので、いきなりチームに来ても戦術にフィットしやすいし、監督が言うことに真摯に取り組む姿勢も持っているので、ほとんどのチームに1人は日本人選手がいるというのが現在のシンガポールリーグの状況。全体的に親日の人が多いので、日本代表にもリスペクトがありますし、日本という国に関心を持っている人が多い印象ですね。

ーアルビSは2019年の方針転換を経て、2023年からは完全ローカルクラブへと生まれ変わりましたが、クラブ設立からは長い間、日本人選手だけのチームでした。2015-2018シーズンには多くのタイトルを獲得して、特に2016年は国内4冠に輝くなど黄金期を築いていますが、アルビSというクラブは現地でどのような存在として捉えられてきたのでしょうか?

仲村:ローカルクラブとなった今では、もうないんですが、当時は目の敵というかヒール役だった感は否めませんね。プレーしていたときはそんなに感じていませんでしたが、関係者や組織の上の人たちの話では、どうにかしてアルビSを優勝させないでやろうと画策していたようで…。タイトルを獲得しまくったことで、いきなりレギュレーションが変更されてオーバーエイジ制限をかけられたり、優勝するごとに枷を加えられているという感じでした。

仲村京雅 写真:Ayumi Nagami

ACL出場、シンガポール帰化へ