ここには首都圏で2都市、西日本で2都市が該当した。いずれもその地方一帯の拠点都市であり、周辺からの流入があり、社会増が自然減を上回っている都市が多い。

その意味で、表2までの6都市(東京都区部も含めて)は今後とも少子化を緩和して、近未来の日本人口反転の可能性に富むといっていい。少なくともこの6都市への多方面からの優先的支援が考えられてよいのではないか。

東京都区部 0.6803

さいたま市 0.6690

熊本市 0.6289

広島市 0.6086

表2 出生数/死亡数が60%台

しかし、表3に含まれた名古屋市、横浜市、大阪市などは、歴史的にも政令指定都市の代表格ではあるが、出生数/死亡数が50%台なので、このままでは「人口反転」には寄与するとは思われない。

名古屋市 0.5910

岡山市 0.5779

仙台市 0.5767

横浜市 0.5384

大阪市 0.5169

表3 出生数/死亡数が50%台

また表4ではその値が30%~49%までの範囲の政令指定都市をまとめた。全国で20の政令指定都市のちょうど半数の10都市がここに該当する。これら京都市、神戸市、札幌市を含む政令指定都市では自然減が大きいために、かりに社会増があっても、もはや総人口の減少は避けられない。

千葉市 0.4850

相模原市 0.4726

堺市 0.4655

神戸市 0.4618

浜松市 0.4559

京都市 0.4247

札幌市 0.4156

新潟市 0.4086

北九州市 0.4037

静岡市 0.3829

表4 出生数/死亡数が30%~49%

政令市の処遇に差をつけられるか

このような論点の背後には、『人口ビジョン2100』を特集した『中央公論』(2024年2月号)において「帰路に立つ政令指定都市」を取り上げて、「政令市の処遇にあえて差をつけよ」という主張があったからである(北村、2024:80)。