その後で、資料としては2024年1月から9月末までの出生数と死亡数とのデータを使い、「出生数/死亡数」の割合で20の政令指定都市に東京都区部加えて分類した。そうすると、表1から表4を得る。

表1は「出生数/死亡数」の商が0.7以上なので、死亡数は多いが、出生数がその70%以上になっているので、依然として相対的に出生率が高い政令指定都市として、福岡市と川崎市が該当するとした。その意味で、この両都市は「人口反転」の突破口として期待していい。

福岡市 0.7706

川崎市 0.7622

表1 出生数/死亡数が70%台 (注)割り算の数値を%で表した(以下同じ)

福岡市の人口動態

このうち福岡市は、アジア圏のいわば窓口機能に優れていて、陸(博多駅)、海(博多港)、空(福岡空港)による国際的にも交通至便な大都市でもあり、中央区や博多区などでは商業、文化、教育の機能が着実に集積中である。

2024年1月~9月までの出生数は8827人、死亡数は11465人であったので、割り算をすると表1の結果を得た。

川崎市の人口動態

一方川崎市は、臨海部の工業地帯の集積に加えて、世界的な企業や研究機関の立地が進み、国際的な産業都市づくりが鮮明になってきた。京浜間の交通利便性にも優れていて、良好な住宅地や商業施設が形成されて、人口増加を基調としている。

2024年1月~9月までの出生数は7809人、死亡者は10246人だったから表1の数値を得た。

「出生数/死亡数」の割合が60%以上の都市

次に、政令指定都市のうち「出生数/死亡数」の商が0.6以上の都市を見てみよう。東京都区部、さいたま市、熊本市、広島市がこれに該当する。要するに、1月から9月までの出生数が死亡者の6割を超えた都市である。

このうち熊本市も広島市もいわゆる地方中核都市の代表であり、商業、工業、農業などの機能が程よく配置されていて、そのうえ地方の拠点大学が立地した文教都市でもあるために、「人口反転」の可能性に富んでいるとみたい。