もし大統領の独走ではなく、軍の全体が承認する本格的なクーデターだったら、そもそも国会を開こうとしても実力で阻止されたか、またはやはり実力で開かなかったことにされただろう。平時から戦時に移行するとは、そういうことなのだ。その自覚なしに、法技術だけを云々しても空しい。
私たちは戒厳の「論理」とはなにかを知り、それが戦争からしばらく離れた国でも秘かに、広く浅く瀰漫しつつあることを知らねばならない。みじめな尹錫悦氏の失敗が韓国では「二度目の笑劇」に過ぎぬとしても、それがいつか日本で「一度目の悲劇」になる日が来ないとはかぎらない。
(ヘッダーは12月4日早朝、速報時のTBSより)
編集部より:この記事は與那覇潤氏のnote 2024年12月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は與那覇潤氏のnoteをご覧ください