12月4日に、関わっている『公共』の教科書の版元がロング・インタビューを載せてくれたのだが、ご存じのとおり、同日未明にまさかの「戒厳令騒動」が韓国で起きるとは思わなかった。
戒厳令(名称には非常事態宣言とか、色々ある)を敷くとは、平時モードではもはや「公共」を維持できないので、ここから戦時モードの「公共」にチェンジします、と宣言する行為だ。よい機会だから、平時と戦時には公共性がどう形を変えてしまうのかについて、考えてみよう。
今回の韓国の戒厳騒動は、少数与党のため議会をコントロールできず、政権運営に行き詰まった尹錫悦大統領が試みた「上からのクーデター」だとされる。国民に向けた会見で語られた尹氏の言い分は、日本語訳によるとこうした理屈である。
私は大統領として、血を吐くような心境で国民の皆さんに訴える。
(中 略)
国政は麻痺し、国民のため息は増えている。これは韓国の憲政秩序を踏みにじり、憲法と法律によって建てられた正当な国家機関を妨害するもので、内乱を画策する明らかな反国家的行為だ。
国会は犯罪者集団の巣窟となり、立法独裁を通じて国家の司法行政システムをまひさせ、自由民主主義体制の転覆をたくらんでいる。