世界的なトレンドと言える大衆の「露悪家」傾向に乗っかった主張であり、悪く言えば「パンとサーカス」を求める大衆に迎合して、低調だった党勢を立て直そうとしているようにも見える。

さすがに玉木氏すらも止める状態になっているが、踊らされた大衆は、財務省のHPに盛んにアタックを繰り返しているという。財務省の「偽善」を打ち倒すべく。

そして今月は、兵庫県知事選や名古屋市長選があった。前者の影の主役はNHKから国民を守る党の立花氏であろう。後者の影の主役は、前市長の河村氏だ。2人などは、風体も発言も、露悪家の典型ともいえる。

世の中は、既存メディアは、偽善ぶって、「パワハラはいけません」「おねだりはいけません」「(パレードの支出などでは)ルールを守らなければいけません」とか言っているが、「そんな偽善では物事動かないんだよ」、「既成の偽善エリートたちが作った仕組み、利権構造を壊すには、ぶっ壊すだけのパワーが必要なんだよ」というメッセージが伝わったと見るべきではないか。偽善に騙されるな、と。

ネット社会と露悪

そしてネット社会は、特に露悪を拡散させる気がしてならない。ネットの特徴は、その匿名性にある。極端な誹謗中傷は、さすがに最近は取り締まられるようにはなってきたが、それでも、大半は、ネットの闇に隠れて、分からないように相手を攻撃する。

偽善家は、基本的に身を隠す必要がないので(正しいことを言っていると自負しているので)、ナイーブに名前を晒すなどして主義主張を展開するが、偽善的言説は、自己承認欲求の発露のようにとらえられてしまい、大して拡散はしない。むしろ、陰に陽に攻撃される。

大体、闇から攻撃するのは無数の露悪家たちだ。ネット社会で拡散するのは、その多くが、露悪家たちの過激な主張だ。そちらの方が面白おかしく、パンとサーカスを求める大衆のニーズに合っている。

「隠れ」トランプとは良く言ったもので、露悪家は、その顔を全面には普通は出さない。匿名的に過激な主張をするか、あるいは顔をまったく出さずにいる。米国大統領選で、接戦、接戦と言われつつ、思わぬ大差になったのは、この影響も大きいであろう。